2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国・四国地方における少年補導センターの組識基盤と活動実態に関する調査研究
Project/Area Number |
17530009
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
畑 浩人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (80325133)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英世 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40372726)
|
Keywords | 少年補導 / 少年育成 / 青少年対策 / 犯罪社会学 / 法社会学 / 刑事法学 / 基礎法学 / 政策研究 |
Research Abstract |
今年度は各地において約30年間にわたる少年補導関係資料の収集を中心に行った。各県警察本部少年課、各警察署生活安全課少年係、各自治体少年補導センター、各県政・市政情報室、各公立図書館郷土資料室などにおいて、少年非行に関する年次統計、少年補導活動に関する年次報告書、非行関連の調査報告書などを入手した。 各センターでの面接調査については、関係機関の責任者が数年ごとに異動していること、また行政資料の保存状況が地域で異なることから共有情報の断絶が甚だしいため、まだ挨拶程度の萌芽的段階にとどまった。これを克服するため、今後は情報提供者を遡及的にも募る必要がある。また、統計情報の内容についても、必ずしも非行や問題行動の実態をそのまま反映しているわけではなく、街頭活動の方針変更や取締側の組織変動も充分に考慮したうえで、「経年変化」とその原因の影響度を慎重に分類区別しながら考察する必要性の大きいことが面接調査により認識された。 もとより少年補導センターの活動実態が各地域により多様であることは予想されていたが、実際に調査を行ってみると、同一県内においてもセンターごとに組織や活動の差異が大幅に見られた。いくつかの類型を構築して整理する必要があろう。例えば、県庁所在地のセンターには、警察から出向した常勤職員もおり、教育委員会と警察との連携が比較的密にとれているが、周辺都市になると教育委員会の主導権がやや強くなり、「補導」が「育成」という広い概念に包摂され、組織の名称も変わって、不登校などの学校問題処理といった業務が中心になってくるようである。 次年度以降は、本年度の基礎的な知見(補導統計の推移と関連組織の変動)を前提に、よりいっそう情報提供者との関係を密にして範囲も広げ、各センター組織の特性を発見し、その原因を歴史的にも考察していく予定である。
|