2006 Fiscal Year Annual Research Report
個人情報保護における非権力的手法に関する比較法的研究
Project/Area Number |
17530015
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 裕章 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20210015)
|
Keywords | 個人情報保護 / ドイツ法 / フランス法 / EU法 / 非権力的手法 |
Research Abstract |
本研究は、個人情報保護における非権力的手法の活用可能性とその限界について、比較法的検討を加え、もって日本における今後の立法論及び解釈論の発展に寄与しようとするものである。前年度は主としてドイツ法の検討に焦点を当て、特に同国における「個人データ保護の現代化」論について、現地調査を含めて資料の収集及び整理を行った。本年度はドイツ法の研究を継続し、ひとまず一定の成果を得ることができた。その概要を要約すると次の通りである。 (1)「個人データ保護の現代化」が論じられるに至った背景には、一方では電気通信技術の飛躍的発展という技術的要因と、他方では規制緩和論という政治的要因があったこと。 (2)「個人データ保護の現代化」として特に主張されたのは、データ主体の自己決定の重視、事業者による自主規制手法の活用、技術を通しての個人情報保護という観点の導入等だったこと。 (3)改革の必要性についてはコンセンサスがみられるものの、個人情報保護に好意的な論者からは非権力的手法の実効性等について疑問が提起され、事業者に好意的な論者からは規制緩和のさらなる推進が主張されていること。 (4)ここ数年、本格的改正作業が進んでいないが、それは主として政治的理由(政権交代)によること。 また、以上の他、本年度においては、フランスの個人情報保護法制の検討にも着手し、基礎的な文献や資料を収集することができた。 これらの成果を踏まえ、本研究の最終年次に当たる平成19年度においては、ドイツ法の研究成果を公表するとともに、次のステップであるフランス法の本格的な検討に着手する予定である。
|
Research Products
(3 results)