2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会的多様性の代表と政治統合-代表の基礎理論に関する研究
Project/Area Number |
17530016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
只野 雅人 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90258278)
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Keywords | 地域代表 / 利益職能代表 / 多様性 / 多元主義 / 二院制 / 民主主義 / 国民主権 |
Research Abstract |
17年度は、フランス語の文献を中心に資料の収集を行い、「社会的多様性の代表と政治統合」の基礎理論の構成要素となる論点を整理した。また並行して、これまでの研究成果を再検討した。そうした作業を通じ、基礎理論の骨格部分について、基本的な分析視角と検討の方向性を確認することができた。17年度の具体的な研究実績は以下の通りである。 1 従来の研究成果を再検討する中で、代表の基礎理論との関わりで、二院制の重要性をあらためて認識した。そこで、これまでの研究に新たな視点を付加して、「単一国家の二院制」と題する論考(2006年4月刊行予定)にまとめた。個人の意思の集積と多数決による決定だけではくみとることのできない民意の多様性を具体化する制度として、二院制がもつ積極的意味を明らかにした。 2 研究の柱のひとつとして、多元主義について研究を進めた。主権の単一不可分性・国民の等質性を公理とするフランスにおいて、多元主義的な社会の構成要素が歴史的にどのように位置づけられてきたのか、とりわけ、一体性・等質性の要請が極めて厳格に働く国家の領域で、社会の多元主義的な構成要素がどのように考慮され制度化されてきたのかについて、考察を行った。その成果をふまえ、日仏法学会・2005年度総会(2006年2月18日、東京大学)において、「フランス民主主義と多様性--《思想・意見の諸潮流の多元主義》をめぐって」と題する報告を行った。そこでは、多元主義的な社会の構成要素が、政治代表のプロセスを通じ、いわば「合理化」されて、政治に反映されてきたこと、多数派デモクラシーが強調される今日のフランスでも、様々な形で社会の多様性の主張が存在していることなどを明らかにした。
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Research Products
(1 results)