2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代政党国家における選挙候補者擁立過程の憲法学的研究
Project/Area Number |
17530019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本 秀紀 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00252213)
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Keywords | 政党 / 選挙 / 候補者 / 憲法 / 党内民主主義 / ドイツ / 結社の自由 / 公共性 |
Research Abstract |
2年計画の初年度に当たる本年度は、まず、本研究の基本的視座を得るため、ドイツに関する研究に先立って、従来の日本憲法学における候補者選定過程に関する理論枠組みについて、批判的に検討した。 そこで明らかになったことは、日本の憲法学の主流的見解は、政党内における選挙候補者擁立過程を私的結社内の内部手続と解するため、「国民代表」候補の選定という、すぐれて公共的なことがらを法的にコントロールする理論的ツールを有していない、ということであった。このことの背景には、これまでの憲法学が、政党条項を欠いている日本国憲法を前提として、公共的な役割を担う政党を「結社の自由」のフィールドに位置づけてきたことが、伏在していると思われる(こうした序論的考察の一環として、各国の政党条項の規範的意義を比較検討した論稿を法律専門誌に発表した[「11.研究発表」の欄、参照])。 これに対して、本研究が主な比較検討の対象とするドイツでは、憲法で正面から政党を規律していることを前提として、政党法および選挙法によって、選挙候補者の擁立過程の手続が事細かに定められている。本年度検討を進めた連邦憲法裁判所判決で扱われた事例においても、ある選挙区における候補者を選出する党員会議の招集手続が問題となり、違憲判断が下されたといったように、政党という(それ自体は)「私的」な結社と選挙という「公的」な政治過程との交錯点において、「公的」過程に影響を及ぼす決定の民主的な質をどのようにして確保するのか、という観点が前面に出ていることが明らかとなった。 なお、本年度は、次年度での検討のために、当該テーマに関わる文献収集にもあわせて力を入れるため、物品費は主に図書購入費に充てた。次年度の研究成果に生かしたい。
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Research Products
(1 results)