2006 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス軍事法における1990年代後半以降の「司法化」の進展と今後の展開
Project/Area Number |
17530032
|
Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
大田 肇 津山工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (30203798)
|
Keywords | 公法学 / 軍事法 / イギリス / 2006年軍隊法 / 軍法会議 |
Research Abstract |
主としてイラク戦争・同占領下で生じている問題(例えばイギリス兵によるイラク人虐待、その起訴に関わる対立、起訴当局の能力の限界など)に関する文献・資料等の収集に努め、それらを論文にまとめたものが『イギリス軍法会議とイラク占領』である。また、その中でも取り上げたBaha Mousa事件に関する軍法会議を、2日間、現地にて傍聴した。この軍法会議の主たる判決は今年の3月に下され、この判決の検討が次年度の課題の一つとなる。2006年軍隊法に関しては、その内容のかなりの部分が命令に委任されており、そうした命令の制定等を慎重に見守る必要がある。 また、イラク戦争での軍事作戦に参加したイギリス兵の死に関し、検屍官裁判所(Coroner's Court)において、当該作戦と兵士の死の関係が審議されているが、死者の増加に対応できず、審理が大幅に遅れており、特にアメリカ軍の誤射によって生じた事件に関しては、検死官の要求にもかかわらずアメリカ軍が証拠の提出を拒否するなど、政治問題化している。こうした動向は、軍事法における「司法化」の、新しい領域となる可能性があり、現地の担当弁護士とも情報交換をしながら、さらなる調査を続けたい。
|