2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530035
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
洪 恵子 Mie University, 人文学部, 教授 (00314104)
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Keywords | 国際刑事裁判所 / 慣習国際法 / 国際刑事法 / 国際人道法 / ユーゴ国際裁判所 / 慣習人道法 / 国際刑事裁判所 / 人道に対する罪 |
Research Abstract |
私の研究課題は「国際刑事裁判権の発展の国際慣習法に対する影響」である。前年度はユーゴ国際裁判所などに代表される近年の国際的刑事裁判所(international criminal tribunals)において認定されている慣習国際法の特徴を検討し、伝統的な慣習国際法が国家に対する規範であったのに対して、国際的刑事裁判所で認定される慣習国際法(いわゆる慣習人道法(Customary Humanitarian Law)は個人に対する規範であることに注意すべきであるという結論を得た。その上で、今年度は特に「人道に対する罪」をとりあげ、判例の検討を行った。国際的刑事裁判所は人道に対する罪の他、戦争犠牲者の保護に関する1949年ジュネーヴ条約の重大な違反や集団殺害犯罪(ジェノサイド)についても管轄権を有する場合が多い。しかしこれらの国際法上の犯罪がそれを規定する(定義する)条約があるのに対して、人道に対する罪には条約に基づく規範設定がない。したがって裁判所は国内法又は慣習法に基づいて犯罪の成立を認定する必要があるのである。このような点から、他の国際法上の犯罪に比して、人道に対する罪に注目する方法こそ、慣習国際法の研究には適切であると思われた。基盤研究の最終年度に当たり、すでに検討を加えた国際的刑事裁判所の判例の国内裁判への影響の問題に加えて、当該問題を検討することによって、研究課題である国際刑事裁判権の発展の国際慣習法に対する影響という問題について、その全体像を把握しようとつとめた。その成果の詳細は成果報告書において報告する。
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