2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際司法裁判所の合法性審査機能の発展とその法的位置づけ
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17530036
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
杉原 高嶺 Kinki University, 法科大学院, 教授 (30004154)
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Keywords | 国際司法裁判所 / 安保理決定 / 合法性の審査 / 司法審査 / 国連憲章との適合性 / 勧告的意見 / ロッカビー事件 |
Research Abstract |
冷戦の終焉後、国連が新たな活動の局面を迎えると共に、国際司法裁判所(ICJ)も伝統的な国家間紛争の解決といった役割とは別に、国連等の国際機構やその加盟国がとった行動の合法性(legality)の審査という、新たな任務の遂行が求められている。たとえば、ロッカビー事件でのリビアによる安保理決定の合法性の審査請求、NATO諸国によるユーゴ空爆の合法性事件、あるいは国連総会による核兵器使用の合法性事件、さらにはイスラエルによるパレスチナ占領地における壁建設事件、などがそれである。この新しい法現象は、同裁判所が国際社会の法の番人としての役割を強化させるべきであるとの期待を示すものともいえる。本研究は、こうした問題意識から、この新しい司法機能(合法性審査機能)の意義を明らかにした。 この趣旨から昨年度までは主として上記の判例と、これらの判例研究を含む海外の研究論文を検討した。学説上では、国家間の訴訟事件で裁判所が国連機能(安保理等)の決定の合法性を審査しうるか否かについては法的見解の対立がみられるが、他方、国連の勧告的意見の要請という形での加盟国の行勤の合法性の審査を求めることほ大きな異論はみられない。以上の調査結果から、国際司法裁判所の合法性審査の形態は次の三種に分けて検討すべきことが判明した。(1)国家間の訴訟事件における国連機関の決定の合法性の審査、(2)訴訟事件における国家の行為の合法性審査、(3)勧告的意見の要請形式における国家および国際機関の行動の合法性審査、である。(1)はロッカビー事件がこれに当たり、(2)は武力行使の合法性事件(ユーゴ空爆事件)、(3)は核兵器使用の合法性事件、パレスチナ壁建設がこれに当たる。これまでの研究により、これら三つの審査形態の制度的概要を明らかにすることができた。
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