2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530047
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
良永 彌太郎 熊本大学, 法学部, 教授 (20139504)
|
Keywords | 社会保険 / 社会連帯 / 保険料 / 保険者 / 被保険者 / 被扶養者 / 職域保険 / 地域保険 |
Research Abstract |
本研究の目的は、わが国の社会保障給付の中核となっている社会保険給付の費用負担に関し、特に非被用者及び被用者の被扶養者の保険料負担の問題に焦点化しつつ、社会保険における社会的扶養原理を確かめまたその現れ方を具体的に描写し、社会保障法における社会保険方式の意義と限界を法的に考察することにある。 本年度はその実施計画に沿って、以下の研究活動を行った。第1に、社会保障法における社会保険の法的意義付けに関し、第2次世界大戦終結前に現れた社会保険法についての先駆的研究まで翻りつつ、主に戦後社会保障法学が社会保険を法理としてどのように取り扱ってきたのか、制度史を踏まえつつ、学説史的に研究した。 第2に、老人医療、基礎年金及び介護の各給付に要する費用の負担関係が、従来型の被用者保険と非被用者保険の区別を相対化していることを重視しつつ、社会保障法学会シンポジュウム報告に関連して研究を行った。具体的には、平成17年度秋季学会(岡山大)におけるシンポジュウムテーマ「社会保険の変容と社会保障法」の共同報告に向けての「社会保険法理研究会」(代表:河野正輝教授・熊本学園大)に参加して研究会活動を重ね、同学会では河野教授と共に司会を務めた。なお、「社会保険法理研究会」は、学会報告終了後も研究活動を継続しており、その成果を発表する企画が進んでいる。また平成18年度春季学会(岩手大)でのシンポジュウムテーマである「社会保障法と自立」についての共同報告のための「社会保障法と自立研究会」に参加している。これについては、社会保障法における「自立」という目的概念が社会保険給付の費用負担関係に及ぼす影響という問題関心がある。 第3に、本研究目的を実施する上で早急に必要な文献・資料を多数収集した。 本年度は、この研究成果を発表するに至っていないが、本研究を遂行する上での新たな問題として経済のグローバル化による非正規労働者の相対的増加という社会基盤の変動が社会保険に及ぼす影響、社会保険における強制加入と保険料負担の限界論との関連など、新しい視点を付加することができた。 次年度は、本年度の研究を、社会保険法理研究会での外国研究の成果も取り入れつつ、さらに発展・深化させてその成果を発表する。
|