2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松久 三四彦 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 教授 (10142788)
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Keywords | 時効 / 取得時効 / 消滅時効 / 時効期間 / 時効の中断 / 時効の停止 / 時効の起算点 / 時効と合意 |
Research Abstract |
本年度は、まず、不法行為損害賠償請求権の長期期間制限の起算点につき、最判平成18年6月16日民集60巻5号1997頁を中心に、「損害の全部又は一部が発生した時」という最高裁判例の意味するところを分析した。また、同期間の性質に関する総合的研究を行った(「民法724条後段の起算点及び適用制限に関する判例法理」損害賠償法の軌跡と展望(山田卓生先生古希記念論集)〔近刊〕)。いずれも、不法行為損害賠償請求権の長期期間制限のあり方を考えるうえでの不可欠の基礎的研究である。また、時効制度の機能につき検討し、証拠保存解放機能、義務解放機能・権利行使促進機能、裁判所の負担軽減機能(提訴抑止機能、判決迅速化機能)という分析視角を得た。これも、今後の時効制度の設計においては貴重な視座である。さらに、近時、消滅時効の新たな展開が顕著であることから、ヨーロッパ契約法原則(PECL)の第3部(2002年公表)第14章時効、ドイツ新民法中の消滅時効(2002年施工)、ユニドロワ国際商事契約原則(2004年改定)における消滅時効、フランスの債務法及び時効法改正準備草案(2005年)における時効の研究に着手した。わが国が現在民法改正作業中であることから、あるべき時効制度を考える上での基礎作業としての意義を有するものである。
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Research Products
(6 results)