2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530064
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中舎 寛樹 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 教授 (10144106)
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Keywords | 類推適用 / 法規解釈 / 民法 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の最終年度にあたるので、収集した類推適用判例の整理、分析を中心に以下の研究を行った。 1.表見法理における類推適用判例の整理・分析 前年度までの研究により、表見法理における類推適用判例の整理・分析を行うことが有益であることが明らかとなったので、それに関する規定、すなわち民法94条2項、109条、110条、112条、192条、478条の類推適用判例を整理・分析した。抽出した判例の中には、類推適用と明言せず、法意、趣旨といった表現を用いるもの、類推適用否定例も含まれる。これらについて条文ごとに、判例一覧を付し、その整理番号にしたがって、各判例の事案、判旨及び簡単なコメントを付している。コメントでは、類推適用に関する自己の見解を前面に出した評価をするのではなく、わが国においては類推適用を研究する素材自体が特定されていないことが問題であることから、今後の研究のための資料としての共有性を重視して客観的な評価に徹している。収録した判例の中には、これまで紹介されていないものも多い。類推適用に関してこのように判例を網羅して集積した文献はいまだに存在せず、今後の類推適用研究において、研究者が共同利用できる成果になったように思われる。 2.類推適用の要件 本研究のもうひとつの大きな目的である類推適用の要件の抽出と限界設定については、条文ごとの要件・限界を検討したが、類推適用一般についてその要件・限界を設定するためには、実証的手法による研究には限界があり、判例による類推適用の共通の根拠である帰責性概念についての理論的研究が必要であるとの結論に至った。 3.関連業績の公表 以上の研究を行う過程で、関連する研究業績として、478条に関する個別判例の評釈、94条2項の類推適用に関する判例法理の展開過程に関する論文を法律雑誌に公表した。
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Research Products
(3 results)