2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本・EU・ドイツにおけるコーポレート・ガバナンス改革に関する法学的研究
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17530070
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 英治 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 助教授 (40275235)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 新会社法 / 企業結合法 / 敵対的企業買収 / 黄金株 / 外的コーポレート・ガバナンス / 少数派株主保護 / 親子会社 |
Research Abstract |
本年度は、まず、英国の経済学の雑誌である"The Journal of Interdisciplinary Ecomonics"の17巻1=2合併号で特集号"Special Issue on International Corporate Governance"を、客員編集者(Guest Editor)として出版する仕事に従事した。本特集号は2006年6月に出版された。この特集号では、高橋英治は、共著で2本のコーポレート・ガバナンズに関する論文を発表した。一本が、2005年に成立した日本の会社法におけるコーポレート・ガバナンスに関する論文であり。もう一本が、日本とドイツのコーポレート・ガバナンズの構造上の相違点に関する論文である。また、ドイツの日本法の雑誌である"Recht in Japan"に、日本とドイツのコーポレート・ガバナンスの歴史的発展に関する論文を発表した。これは45頁に及ぶ長編の論文であり、ドイツと日本における商法典の成立から、戦後の両国におけるコーポレート・ガバナンス改革、現在の改正などについて両国のコーポレート・ガバナンスに関する法制度の類似点と相違点とを詳細に比較検討した論文である。また、2006年9月には、ドイツの会社法の著名な雑誌である"European Financial Company Law Review(ECFR)"に日本の新会社法における企業結合規制に関する論文を発表した。特に、日本の企業結合法の主要課題は、従属会社に少数派保護を目的とした従属会社のガバナンスの強化にあると論じ、企業結合法の領域にコーポレート・ガバナンズの観点から規制の必要性を説いた。また、2006年6月2日には、韓国の釜山国立大学の国際シンポジウムで報告を行った。テーマは「新会社法とコーポレート-ファイナンス」というもので、敵対的企業買収の防衛策として日本の会社法の黄金株などの制度の問題性を指摘した。本研究課題との関係では「外的コーポレート・ガバナンス(External Corporate Governance)」といわれる領域が東アジアにおける日本・中国・韓国の会社法の発展に重要であると指摘した。また、新会社法の下での会社法実務に関する英語の論文を九州産業大学専任講師・坂本達也と共著で作成した。この論文は"Zeitschrift fuer Japanisches Recht/Jouranal of Japanese Law"に受理され、来年度に公表される予定であるが、我々は、新会社法のコーポレート・ガバナンスは、内的コーポレート.ガバナンスの分野では極めて良好な状態にあるが、外的コーポレート・ガバナンスには問題が多い。新会社法の下で実施されている買収防衛策は、経済的に効率性のある敵対的企業買収をも阻止してしまう結果になるおそれがあることを警告している
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Research Products
(6 results)