2007 Fiscal Year Annual Research Report
民法学における市民社会論・福祉国家論の比較法的研究
Project/Area Number |
17530073
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 勝一 Waseda University, 国際教養学術院, 教授 (10063794)
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Keywords | 市民社会 / 社会的排除と包摂 / 市民権(Citizenship) / グローバル化と福祉国家 / 民法 |
Research Abstract |
本年度は、諸社会科学分野における「福祉国家論」の研究と民法学における「市民法論、社会法論」の研究を中心とした。 福祉国家論に関しては、社会保障、社会福祉学の領域においては、その基礎理論に関する研究が行われ、social exclusion and inclusion社会的排除と包摂を基本概念とし、市民の連帯と自立を実現する可能性を保証するものとしての福祉という議論が展開されている。しかし、前年度までの分析から、法律学の領域においては、このような研究動向が反映されることなく、社会的弱者の保護という視点からの議論がなされるのみであり、方法論的にも、内容的にも立ち後れが目立っていることが判明している。本年度は、法律学、とりわけ民法学の分野における市民法論、社会法論の検討を中心にする予定であったが、これとともに、社会福祉、社会保障、政治学、社会学の分野における市民社会論、福祉国家論をより徹底して検討することにした。その結果、福祉国家論の本質、現代的意義に関する包括的かつ総合的な研究をおこなうことができた。法律学の分野に対してこのような研究成果を導入することが重要な意味を有すると考えたからである。 また、当初の予定通り、民法学における「市民法論、社会法論」についての歴史的考察をおこなった。 現在、この両研究を接合する試みを展開しているところである。
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