2006 Fiscal Year Annual Research Report
子の権利保護のためのシステムの研究-実体親権法と児童福祉法制の連動のあり方-
Project/Area Number |
17530078
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩志 和一郎 早稲田大学, 法務研究科, 教授 (70193737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
高橋 由紀子 帝京大学, 法学部, 助教授 (30248918)
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Keywords | 児童ならびに少年援助法 / 児童虐待 / 児童の権利保護 / 手続保護人 / 里親 |
Research Abstract |
本研究の目的は、父母による子に対する親の責任の懈怠や、親の権限の濫用に対する、現行親権法制および児童福祉法制の限界を直視したうえで、親権法や児童福祉法制のあるべき連携を追求するところにあり、その方法として、ドイツの法制研究に重点を置いてきた。ドイツでは、1979年に民法典親権規定が、従来の親の支配権的色彩が残るものから、子の健全な生育に配慮する親の責任という理解の規定へと大きく改正され、さらに1998年の改正では、子の権利という観念が明確な形で規定の文言に現れるようになってきた。しかし、実体親権法に盛り込まれた内容を実現するには、それを可能にする適切な手続と、具体的実現を側面で支える諸種の行政的支援と、そのシステムが必要であり、それらはいわば三位一体のものとして機能しなければならない。ドイツでは、1990年代に至って従来の公権力の監督・介入型の児童福祉法制を転換し、父母や子、そして家族に対する諸種の支援を通じて子の福祉を実現、向上させることを目的とした「児童並びに少年援助法」が制定され、いち早くそのシステムが構築された。 本研究代表者らは、この少年援助法の重要性に注目し、同法を全訳し、順次公表してきたが、2005年および2006年に同法の主要理念にかかわる改正があったため、すでに翻訳公表済みの部分を含め、大幅な修正改訂を行い、2007年1月現在のテキストに沿った翻訳を完成させた。この翻訳は、科研費の成果として報告書に掲載する。また、この翻訳作業と平行して、研究代表者らは、要保護児童の受け入れ先としての里親制度の研究、裁判過程における子の意思の反映のシステム、被虐待児に対する緊急保護の制度などについて分担して研究を進め、実体親権法の理念を実現するためには、行政や司法の措置や手続の充実が不可欠であることが実証できた。それらの個別成果は雑誌論文欄に示したとおりである。
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Research Products
(4 results)