2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530085
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
伊室 亜希子 明治学院大学, 法学部, 助教授 (50308136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 隆 関西大学, 法学部, 教授 (40121884)
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Keywords | 民事法学 / 信託 |
Research Abstract |
預り金信託的管理という問題は、具体的には(1)建築請負の請負代金をめぐる注文者と元請負人、下請負人との関係、(2)債務整理、示談金等さまざまな事件処理のための預り金をめぐる顧客と弁護士の関係、(3)保険料をめぐる保険会社と保険代理店の関係、(4)マンション管理費をめぐるマンション管理組合とマンション管理業者との関係、(5)顧客の預り金をめぐる顧客とサービサーとの関係、等々あらゆる場面で問題となる。 研究2年目である本年度は、昨年度に引き続き、上記の具体的問題ごとの判例分析・問題点の検討を行った。 おりしも、平成18年3月13日に信託法案が第164回国会(常会)に提出され、平成18年12月8日に改正信託法が成立した。改正信託法ではおよそ80年ぶりに信託法の全面的な見直しがなされた。信託法改正に伴って提起された諸々の問題点(特に信託の成立要件)や新たに創設された自己信託などの制度は、本課題の研究にも大きな影響を与える。 この改正信託法の提起した問題点を加味して、研究代表者の伊室は、民法の立場から、研究分担者の栗田は、民事執行法、倒産法の立場から検討を行った。 また、これらわが国の現状把握と平行して、本年度は、信託の本場であるアメリカ、イギリス、そしてわが国と同じ大陸法としてドイツではどのような解決方法がとられているかの調査も始めた。研究代表者の伊室は、主に、アメリカ法、イギリス法を担当し、研究分担者の栗田は主にドイツ法を担当している。研究手法としては、外国法の判例・文献調査を中心としている。 研究最終年度に向けて、引き続き、改正信託法、判例、さらに英米法、ドイツ法の比較法の観点も加味して、当事者が信託と意識していない場合にも、救済手段として信託の成立を認める要件、破産の場合の処置を検討していく予定である。
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