2008 Fiscal Year Annual Research Report
EUにおける立憲的多元主義とその法政策的帰結に関する研究
Project/Area Number |
17530092
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
庄司 克宏 Keio University, 法務研究科, 教授 (60235710)
|
Keywords | EU / 域内市場 / リスボン条約 / 相互承認 / 欧州司法裁判所 / 立憲的多元主義 / EU基本権憲章 / 補完性原則 |
Research Abstract |
第1に、EUにおける立憲的多元主義の理論的検討のため、超国家的統治が行われる空間である域内市場に着目し、物・人・サービス・資本の自由移動の下でいかなる権限配分がEUと加盟国の間でなされているのかについて、相互承認原則に基づく加盟国間での水平的権限配分(ホーム・ステート・コントロールを原則とし、ホスト・ステート・コントロールを例外的に認める)という視点から欧州司法裁判所の判例法の検討を通じて考察を行った。これにより、相互承認原則の下での水平的権限配分が、EUレベルの調和立法という形でEUと加盟国の間における垂直的権限配分につながる契機となりうることが判明した。第2に、条約レベルでの立憲化がどのように進められているのかについてリスボン条約に関する調査研究を引き続き行った。EUが域内市場統合を進めることにより、「民主主義の赤字」ではなく、むしろ「社会政策の赤字(不足)」に直面していることが判明した。リスボン条約はそのような問題に対する解決策を内包しているが、EU市民には必ずしも理解されていないことも明らかとなった。第3に、EU競争政策の「現代化」についても立憲的多元主義の問題意識から検討を始めた。EUレベルにおける欧州司法裁判所とコミッション、また、加盟国レベルにおける国内裁判所と国内競争当局の関係に着目しつつ、まず和解(Settlement)手続の導入と課題について研究を進め、コミッションの役割と国内レベルの私訴の関係について考察を行った。
|
Research Products
(5 results)