2006 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品の取り違え事故防止のための医薬品の名称および商標に対する規制策
Project/Area Number |
17530093
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
佐藤 恵太 中央大学, 法務研究科, 教授 (60205911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 和之 中央大学, 法務研究科, 教授 (60055241)
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Keywords | 医薬品 / 一般名称 |
Research Abstract |
本研究は、医薬品の取り違え事故を防止するための方策として、医薬品の名称の種類をいかにして少なくするか、という観点から、医薬品の商標についての規制策の可能性を模索するものである。医薬品は、一般名称(INNs、JAN等)、各国別々の登録商標、容量、薬剤形状等、複数の要素を組み合わせて投与すべき薬剤が特定される。医薬分業の現状では、医師が処方箋で投薬対象を指示し、看護士または薬剤師がそれを用意して、患者に投与するのが常であり、医師本人が投与するのではないため、ミス・コミュニケーションが致命的結果を引き起こしかねない。そのため、医薬品取り扱いの際の電子化技術(バーコードまたはICタグによる管理)の応用に加えて、医薬品特定のための情報を可能な限り少なくすることが、この種の取り違えを防ぐ第一歩として、取り違え事故防止に役立つと考えたのである。本年度の研究では、まずジュネーブにおける調査によって、INNsの登録手続や、ドメイン名紛争処理手続において、一定程度、商標登録の有無等が考慮されていることが明らかにされた。また、生物多様性の観点から、商標登録すべきでない名称についてリストを公表する動きもあったこと等を考えると、INNsの名称については普通名称ないしはそれに準じるものとして商標登録を行わせないという考え方が、国際的な傾向になってきていることがわかった。第二に、「一般名称+商号」という販売名称の使用が日本で一般化している分野があることが明らかにされた。漢方薬の分野である。このため、医薬品の特定に際して、商号ないしハウスマークの活用という道があり得ることがわかった。一方、今後検討すべき問題として、テイラーメイド医療の進展によって現実味を帯びている、患者ごとに提供される医薬について付与される名称について、どう扱うべきかというINNsの側の問題があることも明らかにされた。
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