2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランス法における「同意と説明」(インフォームド・コンセント)に関する研究序説
Project/Area Number |
17530095
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
大河原 良夫 福岡工業大学, 社会環境学部, 教授 (70341469)
|
Keywords | 患者の同意 / 自己決定権 / 患者の治療拒否権 / がん治療 / 患者の意思 / 医師の治療義務 / 輸血拒否 / 医療公序 |
Research Abstract |
本年度の研究は、患者の治療への同意とその拒否についての判例学説の検討を行った。 まずは、患者の同意が、ある行為に対して与えられた場合、医師はそれを超えて重大な行為をすることができるかの問題を検討し、判例には二つの流れ(第一は患者の新たな同意を得るまでは侵襲を中断しなければならないという立場、第二は外科医が医学的に最善であると信じて決定した場合、新しい事態に応じた侵襲の継続を認める立場)があるが、後者の場合、同意原理の例外となるので、それを正当化する法的構成(同意の射程拡大・患者の利益・緊急性等)が必要とされるが、実際には両者の間にそれほどの対立があるわけではない。 次に、患者の治療拒否権について、がん治療を拒否する患者に対する医師の治療義務のあり方、治療を拒否する患者に相対した場合、医師の義務とは何かという原理的問いかけを行った。医師の治療義務と患者の意思をどのように調整するかの問題は、<がんに対する外科的治療や放射線治療を拒否する患者に、効果のない緩和治療をするだけで、医師として許されるか、医業倫理法に反し処分しなければならないか>、更にいえば、医師には、有効な治療をする義務まであるかという具体的な形で、行政判例は、形成され展開されてきた。このジレンマ解決の第一の手がかりは、医師による説得であり翻意促進等の万事を尽くすこと、患者の意思を無視してまで治療をしなければならないほど、医師の治療義務を厳格に理解する必要はないことである。それに引き続き、輸血拒否事件を素材にして、法律が、はっきりと患者の権利として、患者の同意(拒否)を尊重し、その意に反する治療はできないとしているとき、患者はどの程度までの治療拒否ができるのか。治療拒否によって生命に危険があるような場合まで、患者の治療拒否権として認められるのかの研究を行い、その実績は下記の通りである。
|
Research Products
(3 results)