2006 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後社会への国際支援政策の変容と日本の対応:冷戦後およびテロ後の比較的研究
Project/Area Number |
17530124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
定形 衛 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (20178693)
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Keywords | 紛争後社会 / 国際支援 / 冷戦後 / テロ後 |
Research Abstract |
1.本年度は、まず、冷戦後、テロ後のアメリカの軍事介入の変容を、ボスニア、コソヴォ、イラクの事例を中心に比較検討した。テロ事件を境に、「新しい戦争」論を掲げ、国際法、国際機関の裁可を無視して介入を始めたアメリカの世界戦略の意味は何か。その実態を冷戦後の介入と比較して論じるとともに、アメリカの論理を指摘した。その論考はセルビアの政治研究所発行の"Nacionalni Interes"誌に掲載された。 2.また、旧ユーゴスラヴィア紛争の紛争処理と紛争後の社会構築の事例をもとに、イラク、アフガニスタンとの比較考察をおこない。論考の「ユーゴにおける「介入」の変遷と国家の統合・解体」(『研究論集』3、河合文化研究所)にまとめることができた。そこでは、ユーゴスラヴィア社会の内在要因である、歴史、社会構造、思考様式にまで言及して、支援政策の妥当性を論じた。 3.ブッシュJr.政権以後、「帝国」を自任するアメリカに対し、EU諸国および日本はどのような外交交渉をするべきか。冷戦後そしてテロ後の国際秩序論とも絡めて論じるべく、旧ユーゴスラヴィア紛争の調停で、EUの議長国として当初おおきな役割をはたしたポルトガルの紛争処理、支援政策を研究し、日本への教訓とするため、事例研究をリスボン大学等の国際関係研究の機関で研究をおこなった。紛争当事国の文化、歴史までふまえた調停努力は、クティエーロ案にまとめられ、最終的にボスニアのデイトン合意(1995年11月)の骨子に反映されたのである。 4. 19年度にむけて、紛争当事国の社会変動と国際支援のあり方をボスニア、コソヴォ、アフガニスタン、イラクを事例に比較検討すべく、「国際支援論」のモデルづくりを図った。
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Research Products
(4 results)