日露戦争後に於ける日露両国の国際協調外交に関する基本的研究

2005 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17530126
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 寺本 康俊 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (00172106)
• Keywords: 日露協商 / 林董 / イズヴォルスキー / 日露戦争 / 英露協商

Research Abstract

研究代表者・寺本康俊は、次のような研究の成果をあげつつある。2006年3月、ロンドンの国立公文書館を訪れた。莫大な資料を短期間で調査を行う(費用、時間の制約あった)ことはかなり困難を伴ったが、しかし、その中でFO(外務省)800で日本の外相を担当し、日英同盟の推進者であった林董のイギリス外務省での両様の評価、FO881では英露両国で日露、英露協商の同時成立を望む動きがあったことが調査できた。英露外交担当者の交渉内容から、英露関係打開のためには、その前提として日露関係の関係改善が必要であることが語られていたことを確認した。その際、ロシア外相イズヴォルスキーが日露、英露関係打開に相当程度、希望していることが判明した。国内では、外務省外交資料館等で、引き続き、林董の調査を行う予定である。このように、これまで、日露両国で研究が殆どされてこなかった日露交渉当事者の林董、イズヴォルスキーの研究が着実に進んでいる。また、同時に、今後1年間の中で着実な成果を目指しつつ、研究課題も多いということも認識した。
また、研究協力者であるトルストグゾフ・セルゲイによって、ロシア側の資料調査が進行中である。トルストグゾフは、2006年2月、ロシア帝国外交資料館に保存されている史料を調査した。これらの資料は、今回初めて閲覧できたような資料であり、閲覧にも時間と手間が非常にかかったが、極めて貴重な資料である。オピシ493ジェーラ906,907,908(1902-190)と909,910,911(1906-1907)を検討した。このオピシにはイズヴォルスキーをはじめ、ローゼン、コザコフ、バフメテフなどの重要な関係者の外務省への報告が集まっている。1906年に外相になったイズヴォルスキーの日露関係の理念を反映するいくつかの興味深い報告や林董外相の理念についてバフメテフ公使の報告もあった。また、この史料には当時のイギリス、アメリカ、フランス、ドイツなどの政策と外交理念を理解する情報がはいっていることなどが、調査の結果で分った。