2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530129
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日暮 吉延 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (30253917)
|
Keywords | 戦争犯罪 / 戦犯裁判 / 東京裁判 / 戦後日本外交 / 日米関係 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の初年度に当たるため、本年度の研究計画実施の大部分は一次資料の調査調査活動にあてられた。本研究計画の実証的な性格上、一次資料の存在如何が死活的意味を持つので、この作業は本研究期間を通じて行われるが、本年度は特に講和後の戦犯釈放に関する基本的情報を中心に入手した。具体的には、第1に、靖国偕行文庫(東京都千代田区)所蔵の膨大な資料群である『井上忠雄文書』の調査を集中的に実施することで、戦犯釈放関係の貴重な情報を入手した。特に法務大臣官房司法法制調査部『戦犯釈放史要』が実に重要な基本資料であり、その一部を確認できたことが大きい。この靖国偕行文庫の資料は実に多量であるので、次年度以降、研究期間の最終年度まで継続的に調査していく予定である。第2に、今年度は折しも外務省外交史料館所蔵の外交記録の第19回公開がなされ、戦犯釈放と重要な関係を持つ賠償問題に関する貴重な資料も入手できた。賠償問題が重要なのは、オランダが被抑留自国民に関する補償問題を日本人戦犯の釈放問題とリンクさせたことが一次資料で解明できるからである。第3に、北九州市立大学外国語学部の中野博文研究室所蔵のウィンストン・チャーチル文書を閲覧する機会を得て、戦後イギリスの政治外交に関する資料も入手、あわせて貴重な意見交換も行うことができた。上記の3点以外にも、戦犯釈放という個別テーマを広く1950年代の日本政治外交および国際関係の文脈に位置づけるための資料、参考文献をも入手、検討したことはいうまでもない。 今年度は、以上のような資料調査活動を主として実施し、貴重な情報を多く入手するという成果が得られた。しかしながら、それは、本研究計画の資料調査目標からすれば、まだまだ緒に就いたという程度の状況であり、したがって次年度以降も、さらなる資料収集を継続し、逐次、検討を加える作業を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)