2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530129
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日暮 吉延 Kagoshima University, 法文学部, 教授 (30253917)
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Keywords | 東京裁判 / 戦争犯罪 / 国際政治 / 戦後日本 |
Research Abstract |
本年度は、戦犯釈放の日本側一次資料の調査収集を継続するとともに、外国一次資料も合わせて、本格的な資料の検討作業に従事した。 まず今年度の「研究実施計画」の第一点、資料調査活動については、靖国偕行文庫(東京都千代田区)所蔵の『井上忠雄文書』、とくに『戦犯釈放史要』の継続的調査を計画どおりに実施し、有用な情報を多く入手した。 次に「実施計画」の第二点、資料の本格的解読・分析の開始についても計画どおりに開始した。その結果、日本側資料を通じて、主権回復後の日本外交が講和条約第11条の「勧告」権限規定を突破口にして戦犯釈放実現のための政策を執行していったことが具体的な交渉過程とともに確認できた。 他方、旧連合国側諸政府がいかにして対応したのか、が検討のもう一つの柱となった。この点、とくに国務省の資料を中心に検討を加え、1958年の戦犯釈放完了までにアメリカの政策におよそ3度の「変化」があり、その様相がいかなるものであったかをかなり解明できた。 さらに「実施計画」に予告したとおり、ソ連・北京政府の「戦犯」問題についても基本情報を入手し、概要の把握に努めたが、この点はまだ十分とはいえない。 ともあれ研究代表者は本年度内において、「研究実施計画」を着実に実施し、講和後の戦犯釈放に関する国際関係と政治過程をかなりの程度、詳細に把握することに成功した。そして、その成果を2008年1月に上梓した単著『東京裁判』(講談社現代新書)の第7章・第8章において平易なかたちで発表することができた。 本研究計画の実証的な性格上、一次資料の存在如何が死活的意味を持つため、量終年度も資料調査を継続しつつ、本研究の完成をはかる予定である。
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Research Products
(5 results)