2006 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーションと市民社会:国際NGOとグローバルな社会運動の相互作用
Project/Area Number |
17530136
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
毛利 聡子 明星大学, 人文学部, 教授 (90318676)
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Keywords | グローバリゼーション / NGO / 社会運動 / 市民社会 |
Research Abstract |
平成18年度は、1月にバマコ(マリ共和国)で参加観察を行った第6回世界社会フォーラムについて、収集したデータおよび文献をもとに論文「世界社会フォーラムに集う 「マルチチュード」:バマコ〜カラカス〜カラチからの「陳情書」」としてまとめた。本論文では、世界社会フォーラムにおいて、多様な社会運動が合流・分裂を繰り返しながら確実に新しい社会潮流を形成しつつあることを、アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの『マルチチュード』に提示されている概念的基盤を手がかりに、論証を試みた。そして、世界社会フォーラムに参集した15万におよぶ人々を「マルチチュード」を体現化したものと捉え、彼らの提示する異議申し立てを明らかにした。その結果、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの三大陸の異なる社会的文脈において、異議申し立ての内容には差が見られたものの、討議のための開かれた社会的空間の創造という世界社会フォーラムの基本的な考え方は、異なる文化圏においても可能であることが分かった。 引き続きグローバリゼーションに対する市民社会の運動に関する参加観察を行うため、平成19年1月20日〜25日にケニアのナイロビで開催された第7回世界社会フォーラムに参加し、調査および情報収集を行った。4万人以上が集まったナイロビ・フォーラムでは、世界社会フォーラム自体が内包している諸矛盾が明らかになり、フォーラム後も議論が引き続き行われている。とくに、国際NGOと社会運動との間には大きな溝があり、グローバリゼーション公正運動を展開する際の方向づけに大きな影響を与えていることが分かった。この点については、本研究3年目にあたる平成19年度にとりまとめる予定である。
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