2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530141
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 康志 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40193776)
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Keywords | 地方財政 / 基準財政需要 / 政策コスト / 行政コスト |
Research Abstract |
(1)地方財政制度改革の分析として,交付税の配分を人口と面積に基づく透明性の高いルールに改変することの個別自治体に与える影響を考察した。地方自治体が国との関係で義務的な業務を実施できない状況に陥るような見直しは適切でないとの観点からは,現行の基準財政需要額のうち,どの程度が国との関係で義務的な業務のための費用であるかを定量的に把握することが重要である。この比率を計測したところ,本稿での分析結果を見れば,基準財政需要額の中で,国との関係で義務的な業務のための費用でないものが過半を占めていることがわかった。したがって,このような改革で基準財政需要額を人口と面積に基づいて算定したとしても,地方自治体において義務的な業務を行うことが不可能となるものではないと考えられる。 (2)政府補助の会計的費用を示す概念として公表されている政策コストと行政コストの活用方法について研究をおこなった。前者は後者の割引現在価値に相当するが,実際に計測・公表されている両者の数値はかならずしも正の相関関係にはない。そこで,両者の理論的関係を明示的に導き,政策コストの計算期間と融資残高で調整された変数が関係をもつことを示し,実際のデータでその関係が成立するかどうかを検証した。2000〜2004年度の公的金融機関のデータを用いた分析では,理論的関係と整合的な結果が得られた。このことから,政策コストと行政コストの適切な利用にはその理論的性質を正しく認識すべきこと,両者を適切に用いることによづて公的金融機関の業務の性格を把握できることが示唆される。また,行政コストを用いて,公的金融機関への政府補助の大きさを比較することで,各機関の業務の性格を特徴づける分析をおこなった。
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Research Products
(3 results)