2006 Fiscal Year Annual Research Report
欧米マルクス学派が提起する体系の、現代資本主義分析への適用可能性
Project/Area Number |
17530152
|
Research Institution | Tokyo Rissho Junior College |
Principal Investigator |
東 浩一郎 東京立正短期大学, 現代コミュニケーション学科, 准教授 (90352731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 拓也 中央大学, 経済学部, 准教授 (30341986)
|
Keywords | 経済理論 / 欧米マルクス学派 / 生産的労働 / 労働価値説 / 資本 / GDP / 剰余価値率 / 利潤率 |
Research Abstract |
18年度においては、前年度の研究を受け継ぎ以下の考察まで完了した。 1.利潤率および剰余価値率を価値タームと価格タームで分析する際の違いを確定するとともに両者の特徴を析出する。 2.シングルシステムアプローチを採用する欧米の論者間の分析方法の違いを確定するとともに、それぞれの論者の方法の長所・短所を析出する。 3.日本の先行研究との比較。 4.日本における公式統計の組み換え。 5.シングルシステムアプローチにもとづく日本の利潤率計算。 このように、理論的考察と実証分析を行なったわけであるが、とりわけ18年度前半においては、前年度に行なえなかった理論的考察(上記1〜3)を実施し、後半においては実証分析(上記4〜5)を実施した。 その結果、次ページに記載する2本の論文を成果として発表することができた。佐藤論文では、欧米マルクス学派における研究をもとに、価値タームの計測と価格タームの計測による違いを確定することに重点が置かれた。とりわけ技術変化に伴う資本の生産性が価値と価格にどのように反映されるのかという点に注目し、実証分析への足がかりをつくった。東論文では、価格タームで利潤率を計測することに重点が置かれ、マルクス学派的観点から日本の公式統計を組み替え、1980年〜2005年の利潤率の傾向を分析した。 本年度後半から実証分析を開始したとはいえ、理論的考察の領域においても、新たに分析を進めなければならない課題が出てきている。中でも、非マルクス経済学における利潤率、経済成長、資本蓄積、景気循環に対する理論との対比はきわめて不十分なままである。したがって、最終年度となる19年度は、一方で実証分析を進めるとともに、理論的考察についても並行して進める予定である。
|
Research Products
(2 results)