2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウォルター・レイトンの研究-アルフレッド・マーシャルとの継承性を中心にして
Project/Area Number |
17530156
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
近藤 真司 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (50264817)
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Keywords | アルフレッド・マーシャル / ウォルター・レイトン / ケンブリッジ学派 / ケンブリッジ大学 / 『エコノミスト』誌 / 経済学教育 / トライポス(卒業試験) / 知の継承と知の創造 |
Research Abstract |
平成17年度の研究はマーシャルとレイトンの関係をケンブリッジにおける経済学教育の視点から分析することに設定し,7月から9月にかけて英国ケンブリッジ大学図書館,マーシャル・ライブラリー,トリニティ・カレッジ図書館において,マーシャル文書,レイトン文書の調査を行った。 1.マーシャルが創設した経済学トライポス(卒業試験)は,資料調査によりマーシャルが「経済学」の将来を担う人材養成面から創設を意図したことを明らかにすることができた。 2.ケンブリッジ学派におけるレイトンの役割に関しては,ケンブリッジ大学の講義関係資料を中心に分析・検討を行った。レイトンは「現代産業の構造と諸問題」という講義を担当し,ケンブリッジ学派における応用経済学の分野の開拓者であることを明らかにすることができた。 3.英国エクセター大学を訪問し,同大学経済学部のジョン・マローニ博士より経済学の制度化におけるイギリス歴史学派のカニングガムとマーシャルの関係についての教示を受けることができた。マーシャルの経済学トライポス創設と自らの経済学理論において,対立軸としてケンブリッジ大学の歴史学部のカニングガムの影響が大きいことが明らかになった。 4.平成17年度には,ヨーロッパ経済学史学会,英国経済学史学会,英国経済教育学会に出席した。ヨーロッパ経済学史学会では,ポール・カルミー博士(ヘルシンキ・ビジネススクール)の経済学教育についての報告への討論者を行った。 研究成果は,平成17年12月23日の近代経済学史研究会で報告を行った。さらに,平成18年5月27日・28日に開催される経済学史学会全国大会において「マーシャルとレイトン-ケンブリッジ学派の知の継承と知の創造-」というタイトルで報告予定である。報告内容の論文原稿は,経済学史学会大会報告集に提出済みである。さらに論文にまとめ,投稿する予定である。 次年度の平成18年度は,レイトンの『エコノミスト』紙で果たした役割,彼の応用経済学とくに統計学への貢献を中心に研究する予定である。ケンブリッジ学派の知の創造面が明らかにされる。
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