2006 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス古典派経済学における金融経済学の形成と発展(c.1750-1870)
Project/Area Number |
17530157
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 有史 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (60288256)
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Keywords | 古典派貨幣理論 / 貨幣数量説 / 地金論争 / アダム・スミス / ヘンリー・ソーントン / デイヴィッド・リカードウ / トマス・ロバート・マルサス / デイヴィッド・ヒューム |
Research Abstract |
1.古典派貨幣理論(c.1750-1830)の特質とその概要:経済学史学会第70回大会報告(2006年5月28日・「経済学史学会大会報告集」133-138頁) デイヴィッド・ヒューム(1711-1776)からミルトン・フリードマン(1912-2006)にまで至る貨幣数量説の特質と,アダム・スミス(1723-1790)により体系的素描がなされ,ヘンリー・ソーントン(1760-1815)を介して,デイヴィッド・リカードウ(1772-1823)で体系化された古典派貨幣理論の対比を,私自身のこれまでの既発表の成果に基づき,あわせて以後の最新の諸研究を踏まえながら,学会報告の形で行なった。私によるこの報告は,世界の最新の諸研究と歩調を一にしつつも,しかしながら少なくともわが国では斬新のものであったと思われる。 2.マルサスの『エディンバラ・レヴュー』の4つの論文の吟味終了 詳細は,昨年度の「研究実績報告書」にて報告済みであるが,本論文が公刊されたのは平成18年4月1日であるので,ここに研究実績に関わる項目として再掲した次第である。 3.ボイド=ベアリング論争(1797-1801)-地金論争の源流とその余波- 19世紀最大の金融論争ともいうべき「地金論争」の出発点となったウォルター・ボイド(1753-1837)の『ピット氏への書簡』(1801)の詳細な吟味と,彼の論敵サー・フランシス・ベアリング(1740-1810)の3冊のパンフレットの詳細を通じてのボイド=ベアリング論争を,それが引き起こした後の世代の論争における余波,ベアリング最晩年におけるボイド側への理論的「転換」,さらには19世紀ならびに20世紀初頭における諸文献中のボイドを追跡することで,わが国で初めて「ボイド=ベアリング論争」の全体像を描き切ったものと確信する。またこうして,地金論争の全体像を描くための礎を築くことができたものと思う。 4.平成19年度研究予定 平成17年度,ならびに上記1〜3の平成18年度研究成果を踏まえ,さらにヘンリー・ソーントンの金融論の全体の解明,ならびにリカードウの国際調整論に関する論考を平成19年度6月以降に準備・完成させ,上記・研究課題の主となるものの完成(『古典派貨幣理論-スミス,ソーントン,リカードウ-』(仮題))の出版原稿の完成を目指したい。
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Research Products
(2 results)