2005 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険制度の改革と社会厚生の計量分析:医療経済学的アプローチ
Project/Area Number |
17530170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 直志 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (10210460)
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Keywords | 介護保険制度 / 社会厚生 / 介護費用 / 生命保険 / 絶対リスク回避度 / 超過労働 / 健康 / 医療経済学 |
Research Abstract |
今年度は、『国民生活基礎調査』の平成10年と平成13年のデータを使い、平成12年4月1日に介護保険制度が開始されてから、国民の社会厚生が制度前と後ではどれほど改善されたかをノンパラメトリックとパラメトリックの二つの方法で分析を行った。 ノンパラメトリック分析の結果、一ヶ月当たりの介護費用において、平成10年では4万円強であったのが、平成13年では2万円強となり、約2分の1に介護費用が減少しているという知見を得た。また、介護原因別(脳血管疾患、心臓病、骨折、呼吸器疾患、関節疾患、痴呆、高齢による衰弱)に介護費用を分析した結果では、大方の費用は平成13年で減少していることが分かった。このことから平成12年4月1日に実施された介護保険制度は、被介護者の負担が軽減したという結果を得た。また、介護度別(要介護支援、要介護度1〜要介護度5)の分析においても、介護から生じるストレスの軽減や介護時間の減少が見られた。また、パラメトリックの分析結果からも、上記のような同様な結果が得られた。本研究は、『国民生活基礎調査を利用した高齢者の医療費・介護費の関係及び自己負担合算額等に関する研究』という標題で医療経済研究機構の報告書になっている。 また、東京大学社会科学研究所日本社会研究情報センター所有のデータ『生命保険に関する全国調査』(1997年、2000年、2003年)の分析から、2000年4月の介護保険制度の導入は国民の絶対リスク回避度を下げていることが分かり、特にその影響は20代と30代に顕著に現れている。本研究結果を2005年7月にスペインのバロセロナで行われた国際医療経済学学会で発表した。 他2点、「超過労働と被雇用者の健康への影響」と「生命保険と健康との関係」という標題で論文になっており、上記のスペインで発表した論文共々、世界的な経済論文雑誌に現在投稿中である。
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Research Products
(1 results)