2007 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険制度の改革と社会厚生の計量分析:医療経済学的アプローチ
Project/Area Number |
17530170
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 直志 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (10210460)
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Keywords | 介護保険制度 / 生命保険 / 代替関係 / 危険回避度 / 子供の医療需要 / 親の教育水準 |
Research Abstract |
今年度の研究は主に2点である。一つは、高齢者の介護保険制度の影響について、日本のデータを使って昨年度の研究の継続を行った。他一つは、子供の医療需要及び健康状態と両親の教育水準(特に母親)との関係について、米国のデータを使って計量経済学的に分析を行った。前者の研究成果(The Long-term Care Insurance System in Japan and its Effects on Welfare)を2007年7月8〜11日にデンマーク(コペンハーゲン)で行われた国際医療経済学学会(iHEA主催)で発表した。この論文はヨーロッパの専門誌に投稿されている。後者の研究成果の一部は、Applied Economics(2008年第40巻)に受理されている。特に、日本の高齢者の介護保険制度の研究成果について、標本全体(n=14,052)を40歳前(n=3,004)、40-64歳(n=8,277)、65歳以上(n=2,771)、全体と分けて分析を行った結果、公的介護保険の導入により、私的な生命保険(介護保険つき)との代替があることが分かり、顕著な影響が見られた年齢層は40歳前の成人である。この年齢層は、介護保険つき生命保険の購入を2003年で平均約5万円減少させている。また、介護保険の主たる受益者である65歳以上の高齢者にとって、その影響は2003年で約2.5万円である。一方、40-64歳の年齢層では、介護保険の導入は介護保険つき生命保険から離れるという代替の影響にいたっていな。また、すべての年齢層において、2000年の介護保険制度の導入は便益をもたらし、個人の危機回避度を減少させている。その数値は、介護保険制度導入前は、標本全体は、1997年に3.51であったのが、2000年に2.85、2003年に2.07と減少が見られる。もっとも減少が大きく見られた65歳以上の年齢層は、それぞれ4.35,3.15,2.49である。
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Research Products
(3 results)