2008 Fiscal Year Annual Research Report
集団的及び個別的労使紛争に係わる司法と行政による問題解決制度の理論的・実証的研究
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17530183
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福澤 勝彦 Nagasaki University, 経済学部, 教授 (00208935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 省三 長崎大学, 経済学部, 教授 (50182126)
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Keywords | 労使紛争 / 労働審判制 / バーゲニング・モデル / 労働委員会 / 紛争調整委員会 / あっせん / 交互提案型 / 外部オプション |
Research Abstract |
本年度は科学研究費補助金による課題研究の最終年度であり、個別労使紛争とその解決制度についての研究をまとめる作業を中心として行った。まず、集団的労使紛争の減少と反比例して個別労働紛争が近年増加の傾向であることと、その増加の背景と紛争の中身について明らかにし、それに対応する形で進められてきた、紛争解決制度の整備とその意義について検討した。 その上で、国.の行政機関である労働局における個別紛争解決制度である紛争調整委員会を中心とした解決制度の性格と役割、地方自治体におかれる都道府県労働委員会における個別労働関係紛争解決制度である個別あっせん性格と役割、司法における個別労働紛争解決に関わる労働審判委員会による労働審判制の性格と役割を、各制度において紛争解決に直接関わる組織を中心に、各経済学の視点から分析を行った。 同時に、本研究の理論的な手法としてゲーム理論における様々な条件における解の意味を探った。これらの作業によって、本研究における紛争解決を、ゲーム理論におけるナッシュ均衡解との関連によって位置づけ、各解決度の特徴付けを行った。 本研究の主要な結果として、さまざまな紛争解決制度が、対等な労働者と経営者間の関係を担保し、労働者の権利を保護するための重要な役割を果たす物であることを、経済学的な意味で示すとともに、ゲーム理論におけるバーゲニング・モデルの有用性を示唆することができた。
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