2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業のR&D,知的財産権、市場競争の分析-国際競争力低下の可能性
Project/Area Number |
17530189
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
姉川 知史 慶應義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 教授 (80159417)
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Keywords | R&D / 日本企業 / 投資 / 特許 / 生産性 |
Research Abstract |
日本企業のR&D生産性が低下しているのか,日本企業のR&D投資が企業成果を実現しているのかという日本企業の国際競争力の問題を検討する。そのためにR&D指向型のエレクトロニクス産業,医薬品産業,化学産業の3つの産業の中から代表的な企業を選択し,1980年代から現在までのR&D投資額,特許,その他の財務指標を収集した。財務データは,"Compustat"と"CRSP"のデータベースを利用した。特許はUSPTO (US Patent and Trademark Office)のデータベース,さらにそれを整理したNational Bureau of Economic ResearchのUS Patentを使用した。 このように作成したデータベースを利用して,次の予備的調査を行った。第1は,このサンプルの対象企業の「記述統計量」(descriptive statistics)による分析である。選択した3産業,200社が,全体の中でどのような比率を占めるのか、それがどのように20年間変化してきたかを検討した。このとき,R&D投資の生産性が低下しているのか、日本のそれが,欧米のそれと比較して違いがあるのかを検討した。第2は,特許生産関数の推定,付加価値に対する特許の効果の推定,特許の経済的価値の推定の3つ研究の理論的検討を行った。 このうち医薬品産業について精査したところ,日本の企業のR&D投資の生産性が低下していることが判明した。また,エレクトロニクス産業については,日本企業の特許が必ずしも企業成果をもたらしていないことが判明した。さらに,日本企業が狭い領域に集中して価格競争が行われ,また,規模の経済が実現できずに,利益が低下することが示された。これらの事実を,より本格的に説明するのが2年目の研究である。
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