2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530192
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 豊 法政大学, 経済学部, 教授 (20277693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 克也 法政大学, 経済学部, 助教授 (50350210)
貫 芳祐 法政大学, 経済学部, 教授 (70207447)
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Keywords | 経済理論 / 財政学 / 政治学 / ガバナンス / 契約理論 |
Research Abstract |
「ガバナンス」の概念を、(企業内・企業間の)経済主体間、民間・公共セクター間、国家間に存在する様々な外部性(externality)を内部化し解決する仕組みの総称と捉えるという共通理解の上に立ち、民間、政府、超国家の3つの領域での「分権vs.集権」の問題を詳細に分析し、有機的な連関を保つ形で比較するのが本研究の目的である。第1に、民間セクターの企業統治問題(鈴木担当)では、「企業間の合併・統合」vs.「非統合」という「企業の境界の決定」問題や、企業内部の「分権化・集権化」の問題を、「外部性の内部化」と「私的便益の考慮」のトレードオフに着眼して分析し、また、企業内の分権化・集権化の分析には特に「権限の配分」が重要になるため、その視点も取り入れて研究論文にまとめた。その他、本研究の「ガバナンス分析」に関連する研究、具体的には、「企業内・企業間における関係的契約」の契約理論的分析や、関連ある基礎的分析手法に関する研究を進めた。第2に、政府セクター内の地方政府-中央政府関係を、「地方分権問題」を焦点として扱い、地方政府の政策立案インセンティブへの「分権化」の影響などを考察した(小林担当)。ここでも中央と地方の間の「権限の配分」が重要であるが、政府セクター特有の先発・後発の利益・不利益の問題も出現することを理論的に分析した。第3に、超国家機構セクター(貫担当)では、EU委員会を安定成長協定(SGP)の執行者(集権)とし、ユーロ加盟国を同協定の遵守者(分権)とする、安定成長協定(SGP)のガバナンス問題を理論的実証的に考察した。本年度は関連文献のサーベイと資料収集を進め、上記分析枠組みの提示とその現実整合性についての検討を論文にまとめた。以上の各領域には、集権的、分権的なガバナンスの方式が存在し、そのより精緻な比較研究に向けての第一段階が今年度の個別研究で達成されたと言える。
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Research Products
(3 results)