2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレット分析を利用した新しい景気指標の開発に関する研究
Project/Area Number |
17530211
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 宏 広島大学, 大学院社会科学研究科, 助教授 (90292078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 佑三 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80137249)
得津 康義 広島大学, 経済学部, 講師 (30412282)
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Keywords | 景気変動 / 先行指標 / バンドパスフィルタ |
Research Abstract |
この研究では、ウェーブレット分析をはじめとするバンドパスフィルタを使って新しい景気総合指数の開発を目指している。ウェーブレット分析をはじめとするバンドパスフィルタによれば、経済時系列データから景気変動に対応する周期(周波数)の成分を抽出することが可能である。この研究では、鉱工業生産指数や有効求人倍率など景気変動を表す経済時系列データからこの部分を抽出・合成することにより景気判断をより正確に捉える指標を作成し、我が国はもとより諸外国の経済運営上重要な指針を提供することを目的としている。2年間の研究期間中に、内外の研究動向の調査を行ったほか、1970年代からのわが国の先行景気総合指数およびその構成時系列を対象として、バンドパスフィルタを使って分析を行った。分析の結果、(a)わが国の先行景気総合指数は、景気転換点に対して平均9ヶ月間先行している、(b)構成系列のうち最終需要財在庫率指数などは景気転換点に対して適切に先行する性質がある一方で、(c)長短金利差や株価指数は先行指標として良好なパフォーマンスを示さない時期があるなどの結果を得た。得られた個別系列の評価結果を踏まえて、新しい景気総合指数の提案も行い、従来の景気総合指数を上回る結果が得られることを示した。得られたこれらの研究成果を、研究代表者および研究分担者の計3人を著者とするディスカッション・ペーパーにまとめ、OECD(経済協力開発機構)の景気分析の査読付き専門誌に投稿した。研究期間中に修正の上再投稿を促す手紙を編集者から受け取り、現在査読者のコメントを踏まえて論文の修正を行っている。来月には再投稿できる見込みである。
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