2005 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国における資産・所得の分配格差と最適成長のための財政政策の導出
Project/Area Number |
17530221
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
宮阪 雅幸 中央学院大学, 商学部, 教授 (50255163)
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Keywords | 所得分配 / 経済成長 / 分配格差 |
Research Abstract |
今年度における研究の主要な目的は、これまでに示されている課税と所得再分配に関連する理論モデルを展開し、途上国の経済発展を念頭に初期時点における分配格差が経済成長にどのような影響を与えるかについての理論的な検討である。 一般に分配と成長に関して政府による課税や所得再分配といった政策を念頭にしてアプローチするモデルは、分配と成長の政治・経済モデル(political economy model又はpolitico-economic model)と呼ばれており、これまでの一連の研究における基本的なアイディアは、所得や資産に課される税率が分配格差とそれを背景とした投票行動によって決定されると仮定され、さらに決定された税率の水準が資本蓄積に影響を与え、最終的に長期的な経済成長率が決定されてくると考えられていることにある。 これまでの研究では、大きな分配格差の存在はその経済において決定される税率を高くする傾向をもち、高い税率が資本蓄積を妨げ成長率を低下させるという結果を導いている。しかしながら最近の研究成果からこれらの結論に関しては、実証研究からいくつかの疑問が提示されてきており、さらなる研究が必要とされている。 本研究が途上国を対象として意識しているのに対して、これまでに述べてきた理論モデルは一般的な経済を前提として議論が進められている。本研究では途上国の政治・経済に関する特徴を考慮することで、これら諸国の所得分配と経済成長との関係に焦点を当てた理論モデルの構築を試みている。さらにモデルから、経済主体の構成水準の最大化という視点から最適な税率や望ましい分配政策について理論的な視点から検討している。
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Research Products
(1 results)