2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 伯朗 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10263550)
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Keywords | 福祉国家 / 制度派経済学 / 非営利組織 / ドイツ |
Research Abstract |
経済システムにおける制度・組織の経済学においては、政府、企業と共に、非営利組織もしくはサードセクターが重要な役割を果たしている。また、日本をはじめ各国における現実の福祉サービスにおいても、サードセクターが大きな比重を占めるようになりつつある。今年度はこのサードセクターに着目し、その定義そのものを再考した上で、日本とドイツの福祉サービスに関して、その質的、量的差異を明らかにすることを目指した。本研究においては、社会システム論の考え方を取り入れ、経済システムを、組織が他の組織や、個人、政府と結ぶ関係性によって類型化する方法をとった。これに基づいて、日本とドイツの高齢者福祉事業をめぐる制度の比較を行った結果、ドイツにおいては補完性原理による「自由福祉連盟」を中心としたサードセクターの自律性が強いのに対して、日本の事業者においては、非市場性、非政府性が希薄であることが確認された。この研究については、平成17年10月に一橋大学で開催された日本財政学会第62回大会において「福祉国家とThird Sector:組織間関係の日独比較」という題目で発表を行った。 また、本研究では、現実の福祉財政および福祉サービス事業について、日本の場合と比較するため、ドイツ・デュッセルドルフ市役所福祉担当部署、および市内の福祉サービス事業者を訪問し、ヒアリングを行った。その結果、福祉行政の主体である市町村においては、行政や財政の裁量権が日本よりも強く、分権的な機構であることが確認された。また、福祉サービス事業者は政府からも、また市場からも独立して活動している程度が日本よりも強く、サードセクターとしての自律性が日本よりも高いことが判明した。
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Research Products
(1 results)