2007 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な倒産処理手続きに関するミクロ経済理論による分析および実証分析による検証
Project/Area Number |
17530240
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
廣瀬 純夫 Shinshu University, 経済学部, 講師 (60377611)
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Keywords | 倒産処理法制 / 債権放棄 / 企業金融 / 銀行貸出 / イベント・スタディ / 法的整理 / 民事再生法 / 敵対的買収防衛策 |
Research Abstract |
平成17,18年度に行った実証分析の精緻化を進めるとともに、倒産に関連する問題として,平常時の経営者への規律付けの観点から,買収防衛策導入に関する分析を行った. (1) 実証分析の精緻化倒産処理法制改革による倒産処理開始タイミング早期化を検証するための財務データによるイベント・スタディについて,アブノーマル・パフォーマンスの分布や累積アブノーマル・パフォーマンスの推移等を検証し,実証結果の説得力を増すための改善を図った.結果をまとめた論文「倒産処理法制改革による企業倒産処理効率化の検証:再建着手の早期化促進の効果を,財務データによる実証分析によって検証」は,一橋大学経済研究所『経済研究』へ投稿中である.また,銀行の非効率な貸出行動を検証するために債権放棄に着目して行った分析では,株価データによるイベント・スタディに加え,債権放棄時の債務者企業の特性と債権放棄実施後の再破綻との関係に関するプロビット分析や,債権放棄実施時の債務者企業に関する財務データによるイベント・スタディを実施し,問題先送りの債権放棄についての実証分析を進めてきた.結果をまとめた論文「Evidence for Inefficient Lending Practice in Japan」は,投稿の準備を進めている. (2) 平常時の経営者への規律付けに関する分析買収防衛策に関する問題については,2005年以降の日本での防衛策導入に着目して実証分析を行った.具体的には,防衛策導入が企業価値へ及ぼす影響を日次株価データによるイベント・スタディで検証したほか,財務データによるイベント・スタディによって,導入時の業績パフォーマンスの変化の分析を行った.さらに,導入企業の特性についてプロビット分析による検証も実施した.これらについては,論文「買収防衛策導入の業績情報効果:2005年日本のケース」,論文「日本における敵対的買収防衛策導入の特徴:防衛策導入の初期の状況」を公表している.
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Research Products
(3 results)