2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ連邦準備制度の生成に関する研究-中央銀行の「秩序管理」の視角から-
Project/Area Number |
17530242
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
片桐 謙 和歌山大学, 経済学部, 教授 (90233741)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 拓磨 和歌山大学, 経済学部, 講師 (00334219)
|
Keywords | 連邦準備制度 / 中央銀行 / 金本位制 / フリーバンキング / 債務保証 / インディアナ / グリーンバックス / 国民通貨 |
Research Abstract |
本研究の特徴は、アメリカ連邦準備制度の生成過程を、1「秩序管理」の視角から、2歴史的・実証的および思想史的・理論的に、という二つの異なる手法で考察することである。1の「秩序管理」は「貨幣秩序の管理」と「信用秩序の管理」に区分される。そして片桐は前者の「貨幣秩序の管理」を、大森は「信用秩序の管理」を担当している。「貨幣秩序の管理」の視角からは、より安定的な貨幣制度の模索、すなわち金本位制の成立から中央銀行=連邦準備制度成立、の必然性を説くことを目指している。また「信用秩序の管理」の視角からは、既に連銀成立以前に、無限に膨張した債権・債務関係のネットワークがもたらすシステミック・リスクの顕現化を防ぐメカニズムが萌芽的に形成されていたことを明らかにすることを目指している。 そのうえで、本年度、片桐は「貨幣秩序の管理」の視角から、アメリカにおける金本位制の成立を思想史的・論理的に考察した。これまでの自身の研究成果を踏まえ、19世紀末のアメリカの貨幣制度を巡る論争を貨幣論的見地から考察した。特に農民、産業資本、商業資本、金融資本等、当事者を対象として、彼らの立場とその背景を分析した。 大森は、「信用管理」の観点から、連邦準備制度の源流に関して、アメリカ中西部のインディアナ州の銀行制度の自生性を重視し、新たな仮説を検証することを目指した。本年度は黎明期インディアナ州の銀行制度の成立と概要を把握することが主な作業であった。その上で黎明期アメリカ・インディアナ州の銀行制度が財政金融を絡めた銀行間組織であり、中央銀行の本質たる「半官半民性」の生成にとって特徴的な性格を自発的に内生していた点を明らかにした。
|