2007 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ連邦準備制度の生成に関する研究-中央銀行の「秩序管理」の視角から-
Project/Area Number |
17530242
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
片桐 謙 Wakayama University, 経済学部, 教授 (90233741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 拓磨 新潟大学, 経済学部, 准教授 (00334219)
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Keywords | 連邦準備制度 / 中央銀行 / 貨幣秩序 / 信用秩序 / フリーバンキング / 銀行制度の自生性 / ルールと裁量 / 国民通貨 |
Research Abstract |
本研究では、アメリカ連邦準備制度の生成過程を、1「秩序管理」の視角から、2歴史的・実証的および思想史的・理論的に、という二つの異なる手法で考察した。1の「秩序管理」は「貨幣秩序の管理」と「信用秩序の管理」に区分される。そして片桐は前者の「貨幣秩序の管理」を、大森は「信用秩序の管理」を担当した。「貨幣秩序の管理」の視角からは、より安定的な貨幣制度の模索、すなわち金本位制の成立から中央銀行=連邦準備制度成立、の必然性を解くことを目指した。また「信用秩序の管理」の視角からは、既に連銀成立以前に、無限に膨張した債権・債務関係のネットワークがもたらすシステミック・リスクの顕現化を防ぐメカニズムが萌芽的に形成されていたことを明らかにした。 そのうえで、片桐は「貨幣秩序の管理」の視角から、アメリカにおける金本位制の成立を思想史的・論理的に考察した。これまでの自身の研究成果を踏まえ、19世紀末のアメリカの貨幣制度を巡る論争をJ.L.ラフリンの貨幣論的見地から考察した。更に、中央銀行の金融政策に関する古典的議論である「ルールか、裁量か」という問題に関して、通貨論争におけるJ.E.ケアンズの見解を考察した。 大森は、「信用管理」の観点から、連邦準備制度の源流に関して、アメリカ中西部のインディアナ州の銀行制度の自生性を重視し、新たな仮説を検証した。黎明期インディアナ州の銀行制度の成立と概要を分析し、当時のインディアナ州の銀行制度が財政金融を絡めた銀行間組織であり、中央銀行の本質たる「半官半民性」の生成にとって特徴的な性格を自発的に内生していたことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)