2005 Fiscal Year Annual Research Report
フィナンシャル・アクセラレーター仮説と金融不安定性に関する国際比較分析
Project/Area Number |
17530252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
植田 宏文 同志社大学, 商学部, 教授 (00268111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 秀夫 同志社大学, 商学部, 教授 (10104613)
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Keywords | フィナンシャル・アクセラレータ / 金融不安定性 / 資金循環勘定 / 信用創造 / 資産選択行動 / 資金移動 / 資本構造 / 金融政策の有効性 |
Research Abstract |
金融不安定性を研究する上で、マクロ経済モデルで資金循環がどのように把握されるかを明確にしておくことは、きわめて重要である。この点を、単純な家計部門・企業部門で構成されるマクロ経済モデルを構築し、検討した。従来のIS-LMモデルでは、金融資産が現金と債券(証券)から構成されるという単純化を行っているが、これでは、資金余剰部門の家計部門から資金不足部門の企業部門への最も単純な資金循環でさえ分析することはできないと考え、次のような家計部門・企業部門=モデルを構築し、このモデルが資金循環をとらえる最小のモデルであることを明らかにした。従来のIS-LMモデルを修正し、資金循環を把握できる最小のモデルを構築し、資金循環と事前的な収支均等式の関係を明らかにした。この観点に立って、次に収支均等式を制約とした最小の金融機関のモデルを構築し、金融機関の資金調達や家計の資産選択態度が変化した場合に直接金融・間接金融比率がどのように変化するかを定量的に分析した。また、金融不安定性は、単純な貨幣経済ではなく、信用経済で議論される場合が主流である。しかしながら、単純な貨幣経済でも、不安定性自体は発生すると考えられる。この点を、開放経済の貨幣的成長モデルを構築し検討した。 さらに、家計の資産選択行動を明示的に導入したマクロ経済モデルを構築し、金融不安定性が生じる要因を明らかにした。具体的には、ある一定の相対的危険回避度の下で、現行利潤率が上昇すれば、銀行の貸出意欲が強い場合、経済全体の貨幣供給量は銀行部門の存在しない場合よりも増加する。したがって、利子率を一段と低下させることになるためFM曲線の勾配を急にする。このため金融仲介機関の存在は、景気の変動幅を大きくするという金融不安定性を引き起こす可能性を高めることが明らかにされた。
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Research Products
(5 results)