2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530263
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金井 雄一 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30144108)
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Keywords | 経済史 / 金融史 / イギリス経済 / ポンド / ロンドン金融市場 / ユーロ・ダラー / 国際通貨体制 / 第二次大戦後 |
Research Abstract |
第二次大戦後におけるポンドの国際通貨としての衰退を全体として解明するためには、国際的な金融連関を、端的に言えば国際通貨体制の変動を問う視点のみでは不十分である。すなわち、ポンドが逆説的ながらその弱さゆえに国際通貨性を維持していた状況の検討においては国際金融連関視点は有効であったが、イギリスがポンドへの負担を軽減しようとする側面を捉えるためには同国経済の構造変化をも考察に導入する必要が出てくる。そこで、戦後におけるイギリス経済の変容との関連を問う視点からもポンドの衰退を検討し、ポンド衰退過程の全体像に迫ろうとするのが本研究である。 その際、本研究が意図しているのは、一般的な意味での国内・国際両面の総合ではなく、1950〜60年代のロンドン金融市場におけるユーロ・ダラー取引の生成と発展に注目することにより、ポンドの国際通貨からの完全撤退をシティが容認しうる状況を検出できないか、という点である。したがって、本年度はまず、一方では第二次大戦後のポンド衰退について「1947年交換性回復の挫折」、「49年切下げ」等を中心に検討しつつ、他方でユーロ・ダラー市場生成の実情を解明することに取り組んだ。 後者については、ロンドンのThe National Archive : Public Record Officeにおいて、 ・T230/1058 Economic Policy Aspects of the Euro-Dollar Market ・T295/239 The Euro. Dollar Market Exchange Control Aspecte ・T295/1003 Tax Measures to Encourage Euro-Dollar Borrowing 等を調査し、イギリス大蔵省やイングランド銀行がユーロ・ダラー市場に関してどのような認識を抱いていたのかを検討した。さらに日本の国会図書館においても、P・アインチッヒ『ユーロ・ダラー』和田謙三『ユーロダラーのはなし』などから、草創期のユーロ・ダラー取引の興味深い実情を知ることができた。現在は、以上の成果を整理しつつ、新たな資料の検討も進めている。
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Research Products
(2 results)