2006 Fiscal Year Annual Research Report
金融異業種間統合の金融サービスに与える影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17530277
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Research Institution | SAITAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 修 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40312912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 幸悦 埼玉大学, 経済学部, 教授 (40284666)
奥山 忠信 上武大学, 学長 (40185559)
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Keywords | 先端的金融業務 / 金融技術革新 / アンバンドリング / コンソリデーション / 異業種間統合 / 証券化 |
Research Abstract |
本研究は、金融自由化と技術革新のもとで、従来の常識であった業態区分の枠を超えた先端的な金融業務・サービスがどのように開発され、経済にどのような影響を与えているか、基本的方向を把握すべく進めた。そのさい特に欧米における動向に注意した。 実地調査をふまえた結果、以下のようなことが明らかになった。まずヨーロッパではEU金融共通化のもとで注目されるのがドイツにおける動向である。そこでは日本と同様に「銀行離れ」が進むとともに、第2位のドレスナー銀行が保険会社アリアンツに買収され、第3位のヒッポ・フェライン銀行がイタリア勢の傘下に入るなどメガ化と業際再編が生じているが、異業種間統合によっては今のところ販売チャネルの相乗り効果が出ている以外、情報共有による新技術開発は想定されたように容易には進んでいないこと、その中で証券化の動きの拡大による銀行貸付の拡散が重要であること、また各金融機関ともデリバティブ業務等の拡大に経営資源を投入していること、が把握された。これらが国境を超える相互進出と絡みながら進行しているのである。また北米については主にカナダの調査を行ったが、そこでは企業部門の生産能力増強手段として、マクロで見て設備投資額よりも企業買収合併(M&A)額の方が上回るという状態にまですでに至っており、したがってM&A伸介の投資銀行業務が金融業務として重大な比重を占めるようになっているといえる。 以上の状況は、日本においても根本的に相違しないと思われる。なお、上述のように異業種間情報共有による新技術開発はこれまでのところ容易に進展していないとはいえ、今後はこの領域での動きが見られるかどうか注視を続ける必要がある。
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