2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦略と組織の動的相互作用:組織による戦略ドリフトの研究
Project/Area Number |
17530280
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
沼上 幹 Hitotsubashi University, 大学院・商学研究科, 教授 (80208280)
|
Keywords | リソース・ベースト・ビュー / ポジショニング・ビュー / 日本企業 / 経営戦略論 / 社会的相互作用 |
Research Abstract |
平成19(2007)年度の成果は1980年代の初頭から始まり,1990年代に一定のピークを迎える日本の経営戦略研究の流れを国際的な経営戦略論の流れの中に位置づけたことである.より具体的に述べるならば,野中郁次郎・伊丹敬之・加護野忠男という日本の主要な経営学研究者が活発に研究成果を生んでいたこの時代の成果が,いかに海外の研究,とりわけリソース・べースト・ビューの生成に影響を及ぼしたのかを明らかにしてきた.また,同時に,これらの日本の研究者が生み出した成果がリソース・ベースト・ビューの生成に影響を及ぼしたにもかかわらず,同時にその後のリソース・ベースト・ビューの発展の中では,これら日本の経営学研究者の研究成果がなかなか受け継がれていないことも本年度の研究から明らかにされた.とりわけ重要なポイントは,日本の経営学者が経営資源へ注目した理由が,経営資源のダイナミクス,すなわち人が学習したり,知識を創造したりするというダイナミズムを企業の成長・発展に利用しようとしたことに求められるのに対して,アメリカのリソース・ベースト・ビューはこのダイナミズムには関心を示さず,単に企業固有の経営資源が超過利潤の源泉として重要な要素である,ということを主張する論拠としてこれら日本の研究を引用するにとどまっている点に,大きな認識の違いがあるように思われる点が重要である.なお,これらの研究成果をベースとして,これまでのポジショニング・ビューとリソース・ベースト・ビューの対立の中で必ずしも注目されてこなかった側面,すなわち,組織メンバーや市場におけるダイナミックな社会的相互作用を視野に入れた戦略論の研究がますます魅力的なものとして認識される素地ができあがったと思われる.
|
Research Products
(3 results)