Research Abstract |
二年計画の初年度にあたる平成17年度は,地域プラットフォーム体制の確立に関する研究を以下の通り実施した。 1.地域プラットフォーム体制の確立についての文献研究 地域プラットフォーム体制は,(1)技術開発支援,(2)技術移転支援,(3)インキュベータ施設,(4)資金供給,(5)経営指導,(6)販路開拓,(7)技術・人材・市場情報提供,マッチング,(8)インターンシップ等による人材育成,(9)中核的支援機関の大きく9つの要素から構成されていると考えられる。これらの構成要素に対して,各研究分担者の専門性を活かす形で既存研究のレビューを行い,解決すべき問題点・課題等について確認を行った。 2.インタビュー調査の実施 文献レビューの成果を踏まえ,関西地域,地元となる兵庫県・神戸市を中心に,地域プラットフォームの構成要素となる中核的支援機関,インキュベータ施設,地域金融機関,技術移転機関等に対してインタビュー調査を実施した。調査の結果,地域プラットフォーム体制構築に向けた取組みが進められているが,各構成要素間の連携体制の実現は,まだまた端緒についたばかりであることが明らかとなった。とりわけ課題として,地域プラットフォーム体制の核となるべきインキュベータ施設の自律的発展と地域振興とが現実にはトレードオフの関係にあることか確認された。 3.アンケート調査の実施 インタビュー調査の成果を踏まえ,「ビシネス・インキュベーションに関する実態調査」を実施した。調査内容は,既存の調査項目との重複を極力排除し,インキュベータ施設のタイプごとの実態と課題等について重点的に明らかにすることを狙いとした。調査対象は,全国177施設(平成16年度経済産業省産業技術調査より)の,インキュベータ施設担当者,並びにインキュベーション・マネジャーである。現在,分析作業を継続中であり,文献研究,インタビュー調査の成果についての統計的な検証,更には探索的な発見事実についての発掘を行っている。
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