2005 Fiscal Year Annual Research Report
戦略組織と社会的責任の研究-戦略論と組織論の架橋原理の探求-
Project/Area Number |
17530304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大月 博司 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (50152187)
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Keywords | 戦略組織 / 社会的責任 |
Research Abstract |
戦略論と組織論の架橋原理の解明を意図した本年度の研究では,戦略組織と社会的責任の関係について新たな理論モデルの構築とその実証を図るために,事例研究を通した理論仮説の更なる精緻化とその実証の精度を高める研究を行った。具体的には,わが国の流通業界,エレクトロス業界,金融業界の企業組織を対象に,現実に展開されている戦略組織の構築について事例研究を実施し,戦略と組織の関わりがどのように実践されているかを分析し,各組織に共通する因子を探りながら戦略組織のパターン化があるかどうかを検討した。とりわけこの分析作業においては,時間軸を考慮に入れた場合と時間軸を超越した場合を想定したデータの収集作業を行った。それは,これまでのサンプリング調査からも予見されたように,何らかのパターンが見出されるはずだったからである。 本年度は,こうした分析を続けながら,有効な戦略組織モデルを実現するメカニズムの理論モデル化,およびその原理の解明と検証可能性を探ることを意図したが,ほぼ想定通りの研究成果を得ることができた。その成果の一部は,2006年度組織学会年次大会での報告「組織変革の多面性と有効性」と日本経営学会関東部会での報告「組織ルーティンの変化とコントロール」において公表された。 また本研究によって主張される戦略組織のパターン化を国内外の事実データで裏づけるために,アメリカをはじめとした諸外国における戦略組織構築の事例についても比較実態調査が必要なことから,本年度は,イギリスとアメリカに赴き,欧米の戦略組織研究者(グリーブ教授;ウィッティングトン教授,ハンブリック教授)と研究交流を図りながらサンプリング実態調査を行った。 以上から本年度の研究は,戦略組織の有効なパターン化のその実現メカニズムの解明を進めることができ,今後のより豊かな研究成果の可能性を高めるものとなった。
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