2007 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル情報家電産業における技術知識創造力の企業組織論的研究
Project/Area Number |
17530309
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 良始 Doshisha University, 商学部, 教授 (10163023)
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Keywords | デジタル家電 / 半導体 / DRAM / プロセス開発 / 工程アーキテクチャ / 擦り合わせ / 組織内コミュニケーション |
Research Abstract |
わが国半導体(DRAMとシステムLSI)の国際競争力の弱さを説明する通説は次の二つである。(1)設計と製造を企業内に垂直統合するIDM型の非効率性(設計専業ファブレスと製造専業ファウンドリの水平分業型の効率性)を指摘する議論、(2)半導体製造プロセスは、各製造工程相互の依存性が弱く(モジュラー型工程アーキテクチャ論)、しかも技術力の高い日本の装置メーカーがプロセスレシピ付き装置を海外競合企業に販売するので(装置の汎用性論)、資本力があれば容易に高い競争力を達成できる、以上の2つである。平成19年度の研究では、以上の議論に関わり半導体企業の製造プロセス技術者へのヒアリングと文献研究を実施し、以下の研究成果を得た。 (1)半導体プロセスの技術特性ゆえに、競争力のあるプロセスの開発には設計とプロセス開発技術者の調整を必要とし、それはIDM型企業の優位性を示唆する。しかし、日本のIDM企業には設計とプロセス開発の組織内連携が放置され、設計か要素技術のいずれかの発言力が強く十分な相互調整を許容しない事例が多く、IDM型の優位可能性を実現できていない。(2)半導体の各工程は通説とは逆に相互依存関係が極めて強いことが、ヒアリングにより明らかになった(半導体プロセスは典型的なインテグラル型)。競争力ある新規の製造プロセス開発には、設計とプロセス開発の間ばかりでなく、各種の要素技術者がインテグレーション技術者に媒介されて緊密に協調する必要がある。装置を並べれば生産可能という認識はプロセス開発現場の事実と合致しない。以上の点が明らかにされた。
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