2005 Fiscal Year Annual Research Report
オープンソースソフトウェア開発組織におけるイノベーションプロセスに関する研究
Project/Area Number |
17530312
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹田 昌弘 立命館大学, 経営学部, 教授 (30288617)
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Keywords | オープンソース / ソフトウェア開発 / イノベーション / 経営組織 |
Research Abstract |
昨年度までの研究成果をもとして、知識創造過程としてオープンソースソフトウェア開発を整理するとともに、公共財としてのオープンソースソフトウェアを可能にするライセンス文書の位置づけを整理してきた。また、今年度の新たな取り組みとしては、ビジネス組織とオープンソースソフトウェア開発組織との間での協働による価値の創造を明らかにするとともに、プロセスアセスメントを中心とする経営品質活動に対する、オープンソースソフトウェア開発プロセスの考え方を適用する可能性を検討してきた。 オープンソースソフトウェアの周辺での支援ビジネスから始まった企業との関係は、開発そのものへの投資を通じて、企業戦略の一部として取り組むなど、革新を遂げていることが明らかになった。特に、IBMのLinuxへの投資の事例からは自社の戦略的ポジションの獲得・維持に貢献し、ニユートーキヨーの食材発注システムセルベッサをオープンソースソフトウェアとして開発した事例からは、業務システム開発の新たな形態の発生とオープンソースソフトウェアが企業間取引グループ形成の新たな仕組みとなっていることが明らかになった。 経営品質の向上のためには、定義されたプロセスが要求されるが、オープンソースソフトウェアの開発では臨機応変の非定型プロセスが取られ、高品質な成果が得られている。企業においても特に立ち上げ期などでは、必ずしも定義されたプロセスを持たなくとも、高い経営品質を持ちうることを指摘した。 これらの研究は、主に既存の出版物とインターネット上にある資料素材をもとにすすめてきた。特に、インターネット上で開発の進められるオープンソースソフトウェアの場合、インターネット上の資料が重要な研究材料になる。 研究成果の一部は、論文のほか、経営情報学会、日本経営品質学会の研究発表大会で報告し、そこでのコメントを参考に研究の充実に生かしてきた。
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Research Products
(2 results)