2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野口 晃弘 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90208314)
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Keywords | ストック・オプション / 所有者概念 / アジア / 企業会計基準 / 国際基準 |
Research Abstract |
わが国では、平成17年12月に企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」が公表された。そこでは米国基準・国際基準と同様に、付与日における公正な評価額に基づいて報酬コストが費用計上されるように規定されているものの、新株予約権勘定の性格に関しては、本質的に異なる内容となっていた。 わが国では、株主ではないという法的形式に従い新株予約権者を企業の所有者としては扱っておらず、新株予約権勘定は株主資本から排除され、権利不行使による失効の際には特別利益が計上されることになっている。権利不行使による失効の際に計上される特別利益の金額は、いわゆる疑似ストック・オプションの場合における新株予約権戻入益の金額を見る限り、場合によっては赤字を黒字に転換するような重要な影響を及ぼす可能性を持っている。 このような問題のある会計基準が設定された直接的な原因は、企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」にあり、その背景に討議資料「財務会計の概念フレームワーク」があることも明らかになった。 なお、所有者概念については、FASBとIASBにおいて現在進められている議論の内容に関する資料を収集した。また、アジアにおけるストック・オプションの現状と会計基準について、マレーシアと韓国に関する情報を収集した。
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