2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17530336
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野口 晃弘 名古屋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90208314)
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Keywords | ストック・オプション / 所有者概念 / アジア / 企業会計基準 / 国際基準 |
Research Abstract |
企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第11号「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」がわが国のストック・オプション制度へ及ぼした影響を、日経225企業における状況を調査した。その結果、退職慰労金に代わる報酬制度として、行使価格1円、退職すると権利行使可能となる新株予約権の付与が増えており、それがわが国におけるストック・オプションの特徴となりつつあることが明らかになった。 会計基準に関する問題点として、新株予約権であるか株式であるかという法的形式に依存して会計処理が左右されることについては、既に指摘されていることであるが、そのことから、条件変更の際に指示されている具体的な会計処理に論理的に首尾一貫しない内容のあることが新たに明らかになった。これは基準で原則的に指示されている方法によると、オプションの保有者にとって有利な条件変更であるにもかかわらず、費用ではなく利益が計上されてしまうという矛盾を回避するために生じてしまった現象である。 マレーシアの研究者とアジアにおけるストック・オプション会計の現状と課題をテーマに共同研究を始めた。日本の特徴としては、権利不行使による失効の際に利益が計上されることや公正な評価額の測定が困難な非公開会社について注記による開示で足りるとされていることなど、国際基準と乖離した会計処理が指示されている点が指摘できる。
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