2005 Fiscal Year Annual Research Report
企業ディスクロージャーの品質改善とその評価方法の確立
Project/Area Number |
17530341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中條 祐介 横浜市立大学, 国際総合科学部, 教授 (40244503)
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Keywords | ディスクロージャー / コーポレート・ガバナンス |
Research Abstract |
平成17年度においては、(1)〜(3)にあるような、日米における法定および自発的ディスクロージャーの現状および先行研究の整理を行った。 (1)日米企業におけるディスクロージャーの課題についての考察 (2)諸外国におけるディスクロージャー改善に関する先行研究の整理 (3)諸外国におけるディスクロージャーの品質評価に関する先行研究の整理 これらを通じて、現在の財務諸表は企業価値との関連性が年々低下しているとの多くの証拠を見つけることができた。その主要な要因としては、人的資源やブランドといった知的資産に関する情報が資産として計上されていないことなどが指摘されている。現行の制度上は、これらの無形資産を資産計上することは認められていないが、それを補う動きも一部に見られる。たとえば、インドのIT企業であるInfosys Technologiesでは人的資源に関する定量情報を自発的にディスクローズしている。また、新興企業の一部においては売上高の水増し計上の問題が指摘されている。これといった担保となりうる資産を持たない新興企業においては、急速な売上高の成長しか融資を得るための材料がないという点が問題の根っこにあることが指摘されている。このように、平成17年度における調査を通じて、現行のディスクロージャー制度には改善すべき課題が山積していることが明らかとなった。また、文献による調査のみではなく、アンケート調査やインタビューを通じて情報発信者である企業サイドのマインドや問題意識を明らかにすることも試みている。アンケート調査により全体像をつかみつつも、インタビューを通してアンケートではとらえきれない面や深掘りすべき点を補うというアプローチを採用している。特に、インタビューは個別事例を積み重ねる上で非常に有効なアプローチであることが実感できたので、次年度以降においても継続していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)