2006 Fiscal Year Annual Research Report
企業ディスクロージャーの品質改善とその評価方法の確立
Project/Area Number |
17530341
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中條 祐介 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (40244503)
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Keywords | ディスクロージャー / コーポレート・ガバナンス / 収益会計政策 |
Research Abstract |
本年度の研究を通じて、日米の法定ディスクロージャーの現状および自発的ディスクロージャーの現状について検討を加えた。特に、無形資産の開示に関する検討を進め、無形資産情報の開示を促進するための方策として、(1)無形資産情報の価値関連性にっいての検証、(2)無形資産情報を開示するインセンティブの明確化、(3)将来情報に関するセーフ・ハーバー・ルール等インフラの整備、(4)無形資産情報の生産に関与するプロフェッションと情報の保証・監査問題、(5)無形資産に関するリスク情報の提供方法、といった論点が明らかとなった。 また、情報開示を促進させるに際しては二つのアプローチが考えられる。一つは、これらの情報を開示することで生じるコストよりも得られる便益の方が大きいことを証明するというアプローチである。いま一つは、開示により想定されるコストを制度的に低減させるアプローチである。前者のアプローチは、開示効果を実証研究により示していく必要があり、アカデミックスの役割といえる。一方、後者のアプローチは、セーフハーバールールが将来情報の開示を促進した事例を指摘できる。これは、予測、見積もり、分析その他の将来志向ステートメントを含む情報開示にっいて、米国証券取引所法に基づき免責しようとするものである。 また、本年度までの研究を通じて、会計制度によって自社の実態をより良く表現することが難しい企業の事例が認められた。それは特に新興企業に認められ、利益を中心とした従来型の指標では株価を説明しづらいという事情が存在する。そこで、売上高との関係で株価を評価しようとしたのである。このような傾向が広がることで、財務報告に当たって、従来型の利益にフォーカスを当てた会計政策から、売上高にフォーカスを当てた会計政策へとシフトする可能性が認められる。この売上高にフォーカスを当てた会計政策を収益会計政策と定義し、検証を実施中である。
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Research Products
(1 results)