2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子化による簿記・会計の表示志向が社会に及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
17530351
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柴 健次 関西大学, 会計研究科, 教授 (40154231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福浦 幾巳 中村学園大学, 流通科学部, 教授 (00149791)
工藤 栄一郎 熊本学園大学, 商学部, 教授 (30225156)
坂上 学 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (50264792)
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Keywords | 会計 / 複式簿記 / 表示志向 / XBRL / 簿記会計教育 / 一覧性簿記 / 教材開発 / 簿記検定 |
Research Abstract |
電子化は、だれの目にも見えたデータベースである会計帳簿をデジタル化したために、会計データの貯蔵とその加工の過程はブラックボックス化された。それゆえ、モニター等の表示こそが真実であるとみなさなければ何事も始まらないことから、かえって表示志向が高まることになった。 我々は、(1)表示志向の高まりを会計実務と会計教育において確認する作業をし、ついで、(2)表示志向がそれらに及ぼす影響を推定し、その上で、(3)会計実務や会計教育において実施可能な対応を模索することとした。 そこで、第一に、伝統的な簿記システムにこだわらない会計ソフト開発が行われているに相違ないとの仮説を設定した。本年度は、会計ソフト開発業者((株)ピュアシステム)にインタビューを行った(関西大学と大阪市立大学が担当)。予想どおり、システム開発者は表示部分に会計の本質を見ているとの心証を得た。同じことは、XBRLの開発者や推進者にもあてはまる。会計ソフトやXBRLの開発に関連して表示志向がもたらす影響は、開発者が意図しなくても、表示の技術に全神経を集中していることから、表示内容に関する議論を軽視する傾向を生んでいることである。 第二に、会計教育に関してはコンピュータ出現以来どのように簿記を教えればいいのかが典型的な課題であったが、我々は表示志向の高まりに対応して、会計データの情報化(加工の過程)を見せる工夫をすべきだという結論に達していた。そこで、大量の問題を適宜に出題できるシステムを開発するため、教育上の研究に限定して、検定試験問題を分析した。ついで、会計データの情報化(加工の過程)を見せるため簡単な総合問題(簿記一巡の手続きが分かる問題)を開発した(以上、中村学園大学と熊本学園大学が担当)。関西大学で実施したSE向けセミナーにおいてその実効性を確認した。関西大学会計大学院では講義内容をWEBでストリーミング配信した。 最後に、最終年度へ繰り越す課題として、表示志向は会計実務と会計教育を変質させるかという課題に取り組む。
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Research Products
(7 results)